普段使っている言葉でも、意味をちゃんと知らなかったり、調べてみたら「今まで正しく使えていなかった!」というものもあるのではないでしょうか?
ここでは「諫める」の読み方や意味、言い換え、使い方、英語表現などを紹介していきます。ぜひ最後までお付き合いいただき、「諫める」という言葉の意味や正しい使い方などを再確認していきましょう。
「諫める(いさめる)」の読み方と意味とは?
「諫める(いさめる)」の読み方とは?
「諫める(いさめる)」は「いさめる」と読みます。どちらの字を使っても間違いではありません。日本漢字能力検定では準1級で出てくる漢字です。字自体は「言」と「東」なので書きやすいですが、想像ができない読み方なので、知らないと読むのが難しいのではないでしょうか?また、音読みでは「カン」と読みます。なかなか使う機会のない人が多い漢字かと思うのでこちらも間違えてしまいそうですね。
「諫める(いさめる)」の意味とは?
「諫める」は以下の2つの意味で使われています。
- 禁止する。いましめる。
- 主に目上の人・立場が上の人に対して、その悪い点や過ちを指摘し、改めるように忠告すること。諫言(かんげん)すること。
後ほど詳しく触れますが、主に目下の人が目上の人にする行動なのですね!普段何気なく読んでいましたが、上下関係には気が付きませんでした。
「諫める」の類義語(言い換え)一覧
「諫める」の類義語(言い換え):諫言する(かんげんする)
「諫める」と「言う」なので、意味はわかりやすいですね。「目上の人に欠点を正し改善を促す」という意味で同じように使用することができます。
「諫める」の類義語(言い換え):禁止する(きんしする)
相手の悪いところを改めてさせるために忠告するということからは離れていますが、禁止も同義語となっています。「諫める」は単に「相手に何かをしないように言うこと」も表す言葉なのです。
「諫める」の類義語(言い換え):進言する
「諫言する」と似た響きですが、こちらは「目上の人に対して意見を述べること」です。相手が「目上の人」というところは同じですが、忠告をするのではなくあくまでも意見を述べるだけなので、諫言よりもハードルが低く感じますね。
「諫める」の類義語(言い換え):諭す(さとす)
「諭す」の意味は「目下の人に対して物事を説いてわからせること」です。学校の先生などの正式な呼び方は「教諭」ですが、先生たちは教え諭して導いてくれる存在なのでイメージしやすいのではないでしょうか。
「諫める」の類義語(言い換え):釘を刺す
「釘を刺す」は後々なにか問題が起きないように、「事前に忠告しておくこと」です。なので、起きてしまったことを諫めるよりも、事が起こるより前に忠告をするということならこの言葉の方がぴったりです。
「諫める(いさめる)」の対義語(反対語)一覧
「諫める(いさめる)」の対義語(反対語):唆す(そそのかす)
「諫める」は過ちや悪いところを指摘して、それを改めるように意見をすることです。なので良い方向に向かうための言葉ですね。
それに対して「唆す」は、「悪い方向へ行くように誘導すること」です。
旧約聖書にも最初の人間であるイブが、神様からは決して食べてはいけないと言われていたにも関わらず、蛇に唆されて知恵の樹の実を食べてしまう話がありますね。
「諫める(いさめる)」の漢字を使った熟語一覧
強諫(きょうかん)
読んで字のごとく「強く、諫めること」。なので「諫める」単体よりも強く目上の人に忠告することを表す場合はこちらの言葉を使うのもいいでしょう。
苦諫(くかん)
「苦諫」とは、「言いにくくてもはっきりと伝えて、目上の人を諫めること」です。こんな部下を持てたら幸せな気もしますが、変わる変わらないは言われた側の人間性次第ですね。
諫止(かんし)
「諫止」とは「行動を止めるよう諫めること」です。諫められるほど無謀なことをしようとしていたなら、目下の人たちの苦労が透けて見える気がしますね。
「諫める(いさめる)」の使い方と例文一覧
意味のところでも書いたように「諫める」のは、自分よりも上の立場の人に対してです。また、ただ単に「相手の悪いところを指摘するだけでなく、よい方向に変えるために忠告すること」なので、厳しい中に相手や状況を良くしたいという愛も感じられますね。
例えば以下のように使えます。
例文
- 上司があまりに怒鳴ってばかりで、社内の空気が悪く仕事もしにくかったので、思いきって上司を諫めたら、翌日から上司がおだやかになり仕事がしやすくなった。
- アルバイトの子が頻繁に遅刻するのを容認していたら、「他のスタッフの士気が下がる」と従業員に諫められた。
- パチンコばかりしていて家庭をないがしろにしている父を諫めた。
「諫める(いさめる)」を目下の人に使う場合の言葉は「窘める(たしなめる)」や「戒める(たしなめる)」
もし、同輩や目下の人に忠告をして改善を促すという意味の言葉を使うのであれば「窘める(たしなめる)」または「戒める(いましめる)」が使えるのではないでしょうか。
窘める(たしなめる)
「窘める」の意味とは、「相手のよくないところを注意したり、その上でさらに反省を促すこと」です。親が子を窘めることも多いので、こちらは多くの人がしたりされたりと経験しているのではないでしょうか?
戒める(いましめる)
「戒める」と聞いてパッと浮かぶのは、二度と悪いことをしないように罰を与える、という意味の方もいるかもしれません。ただ、「二度目を起こさせないように注意しておく」という意味で考えれば、少し納得できますね。
「諫める(いさめる)」という漢字は漢文によく出てくる
普通に生活しているとあまり見聞きすることのない「諫(諫)」という字は、古典や漢文となると目にする機会も多くなります。
例えば、「源氏物語 桐壺」に「かへすがへすいさめおかれ侍(はべ)りしかば」という一節があります。
また、孔子の論語には「信ぜられて後に諫む」という一節があったり、名宰相として評価の高い晏嬰(あんえい)は度々諫言を行ったとされているので、その言行録である『晏子春秋』の中にも「諫(諫)」の文字が出てきます。
昔の人は今よりも主従関係が絶対的であったにもかかわらず、主君を諫めることのできるすごい勇気を持っている家臣や、頭のいい家臣が多かったのかもしれませんね。
「諫める(いさめる)」の英語表現
「諫める」を英語で表現する場合、「warn」(注意する)、「advice」(忠告する、勧める、など)、「remonstrate」(諫言する、抗議する)など、いくつか使えそうな単語があります。
それぞれ微妙にニュアンスが違うので、その時々に合わせて使えるといいですね。挙げた中では「remonstrate」が「諫言する」という意味を持っているので一番ぴったりかもしれません。
「諫める(いさめる)」の読み方と意味のまとめ
この記事では「諫める」の紹介をしてきました。ポイントは、多くの場合「上の立場の人」に対して行うこと、というところでしょう。
なかなか漢文に出てくる人たちのように諫める勇気はないかもしれませんが、相手や周り、さらには自分のためにも、本当に必要なときは目上の人に対しても上手に伝えられるといいですね。ここまで確認してきたことがお役に立てれば幸いです。