隠密/おんみつ

隠密(おんみつ) 意味・使い方・例文・類義語・対義語・ビジネス wordia

『隠密』とはよく聞く言葉なのではないでしょうか?ドラマやアニメでも『これは隠密にしてくれ』とか『隠密行動せよ!』等とよく使われており、聞き馴染みのある言葉なのではないかと思います。

しかし『隠密』について詳しくは知らない人もいるのではないでしょうか。そもそも『隠密』の読みは『おんみつ』なのか『いんみつ』なのか?その意味や自分が普段使っている使い方は正しいのか?今回はそんな『隠密』について、意味と使い方、類義語や英語表現などを交えて深堀していきたいと思います。

『隠密』の読み方と意味

ではまず『隠密』の読み方を解説していきたいと思います。『隠密』は『おんみつ』または『いんみつ』と読みます。一般的に『おんみつ』と読まれることが多いかと思いますが『いんみつ』でも間違いではありません。どちらの読み方も正解です。

『隠密』の意味は2つあります。1つ目の意味は人に悟られないように隠して行動することやそのさまを表します。2つ目の意味は戦国時代から近世にかけて情報を集める活動を行った下級武士を表します。分かりやすく言い換えると『スパイ』や『忍者』と呼ばれるものがそれに該当します。

『隠密』の正しい読み方は『おんみつ』と『いんみつ』

上記でも説明しましたが『隠密』の正しい読み方は『おんみつ』と『いんみつ』の2つあります。『おんみつ』と発音されることが多いので『いんみつ』と発音すると少し違和感を覚えるかもしれません。

しかし『いんみつ』と発音しても間違いではなく正解になります。『○○については隠密に事を運ぶようにお願いね』などと言った場合『いんみつ』と発音されるより『おんみつ』と発音されることが多く、『いんみつ』ではなく『おんみつ』の方がメジャーであるという事が分かります。

『隠密』の複数の意味とは

次に、『隠密の』意味についてご説明していきます。前のタイトルでも少し触れましたが『隠密』意味は2つあります。1つ目は人に知られないように物事を隠して行うことです。

『隠密』の『隠』という漢字は『かくれること』、『表面に表さないこと』、『世間からかくれること』を意味し、『密』という漢字は『ひそかに』、『細かい』、『こみあっている』ことを意味します。

『隠』も『密』も『かくれて、ひそかに』という意味がありますので、字の如く『隠密』=『隠れて行う事』を意味することが分かるかと思います。

2つ目は江戸時代の探偵である忍びの者、現代の言葉で表すとすると、忍者やスパイがそれに該当します。

『隠密』の言い換え(類義語)一覧

隠密はどう言い換えられるのでしょうか?上記でも解説しましたが『隠密』という言葉は二つ意味を持ちますので、①人に知られないよう物事を隠して行うことを言い換えた場合の言葉と、②江戸時代の忍びの者を言い換えた言葉で場合分けをしてご紹介します。

まず①の『人に知られないように物事を隠して行う事』を言い換えたい場合の例を挙げると『内密』『インフォーマル』『秘密』『プライバシー』『内緒』『秘め事』『お忍び』となります。

次に②の『江戸時代の忍びの者』を言い換えると『密偵』『スパイ』『秘密捜査員』『いぬ』『まわし者』となります。

『隠密』の反対語(対義語)一覧

隠密の対義語を紹介します。まず①人に知られないよう隠して行う事を意味する『隠密』の対義語は『陽動(これみよがしに堂々を行動すること)』、『公開』、『公然』があてはまります。②『江戸時代の忍びの者』の対義語はありません。忍んで行う者の反対は公然と行う者ですが、スパイや忍者の明確な対義語は存在しないようです。

『隠密』の使い方と例文一覧

『隠密』は様々な場面で使うことが出来ます。いくつか例を紹介します。

例文

  • この情報を社外に漏らさぬように隠密に頼む
  • 暫くの間、大胆な行動は避けて隠密行動を心がけよう
  • 隠密に事を運ぶつもりが上司に秘密がばれてしまった
  • 彼は勘が鋭いから距離をとって隠密に行動しよう

日常会話や文章で『隠密』を使用する際には、①の『人に知られないように隠して行動すること』の意味で使う場合が大半です。逆にスパイや忍者といった意味合いで使用される機会はあまり多くないのが現状です。

『隠密行動』とは?

テレビや時代劇などで『隠密行動せよ!』などといった表現がされているのを聞いたことがあるのではないでしょうか。日常会話ではあまり使わないかもしれませんが、『隠密行動』という言葉は人に何かを知られない様に慎重に慎重を重ねて行動するというニュアンスが前面に押し出されている言葉でもあります。

隠密行動とは字の如く、『隠密に行動すること』を表します。人にばれないように慎重に行動することを意味します。その他に、忍者やスパイといった秘密裡に行動することを仕事としている人のことを指す場合もあります。『隠密に行動する』といった動詞表現ではなく、このように名詞的な意味でも使われることのある面白い言葉だと言えます。

『隠密』と『内密』の違いとは?

『内密』とは『表ざたにしないことやそのさま』を示し、『内緒』という意味です。内密は隠密よりやや軽い表現となります。『隠密』は『隠す』に『密』であり、『内密』は『内側』に『密』であることからも分かるように、隠密の方がより重い秘密であり、秘密にしなければならない意味合いが強い表現であると言えます。

『これは内密にしてね』と言われた場合より、『これは隠密にね』と言われた場合の方がより情報を漏らさぬように注意を払わなければならないでしょう。

また、隠密行動とは言いますが内密行動とは言いません。内密に行動してほしい場合は、『内密』と『行動』の間に『に』という助詞を挟まなければなりません。この点でも『隠密』と『内密』の使い方に差異があると言えるでしょう。間違っても『内密行動で!』とは使わないようにしましょう。

『隠密』と『忍者』の違いとは?

隠密と忍者の違いはどちらも『秘密裡に情報収集をする』という点では共通していますが、その雇われ形態や服装といった面での違いがあります。『隠密』とは主君などの命令を受けて、商人や歌人などといった職業を持ちながらその姿で街の情報収集をする者を表します。

一方『忍者』は大名や領主に仕え、情報を盗み聞きしたり、暗殺を目的として活動したりする者を表します。また、黒装束に身を包み、天井裏などに侵入して情報を得るという点も『隠密』とは異なる『忍者の特徴』と言えるでしょう。

『隠密』と『隠居』の違いとは?

『隠居』とは『家業から離れて静かに暮らすこと、俗世を離れて野山に暮らすこと』を表します。さらに『江戸時代の刑罰の一つ』でもあります。

よく、かつての大人気俳優が今、隠居生活を送っている等とテレビで放映されることがあります。そのテレビ番組を見るとかつて都会で暮らしていた芸能人が近くにコンビニすら無い、ど田舎に暮らしているといった映像が映し出されたりしています。

このような例から『隠居』とは『人から隠れて静かに暮らす』という意味であることが分かるかと思います。

『隠密』と『密偵』の違いとは?

『密偵』とは秘密や内密をひそかに探ることや、その人を意味します。スパイと言い換えても良いでしょう。あまり聞き馴染みがないかもしれませんが『密偵を放つ』等という使い方をし、『スパイを放つ』と同じ意味です。また、『探偵』と言い換えることもでき、今では『密偵』よりも『探偵』の方がメジャーかもしれません。

『公儀の隠密』とは?

『公儀の隠密』とは幕府の隠密を意味します。『公儀』とは公権力を指す言葉であり、幕府のことを意味します。読んで字の如くではありますが、『幕府の忍者』ということになります。

『間者の隠密』とは?

『間者』とは敵の様子を密かに探る者のことを表します。忍者やスパイと言い換えても良いでしょう。『間者の隠密』とは忍者の隠密、つまり忍者の隠し事のような意味合いになるかと思います。

『隠密』の英語訳表現は?

隠密の英語表現は以下のようになります。

  • Make sure that nothing (of the matter) leaks out. (隠密に事を運べ)
  • That is covert negotiations.(それは秘密の交渉です)
  • Let’s keep it a secret.(それを秘密にしておこう)

このように『隠密』を様々な英語表現で言い換えることが可能です。

『隠密』の読み方と意味のまとめ

今回は『隠密』についてご紹介してきました。『隠密』と書いて『いんみつ』と読んでも『おんみつ』と読んでもどちらも正解であることを解説しました。

また、『隠密』は『隠れて行うこと』と『忍者』の2つの意味が存在すると言うこともお分かりいただけたかと思います。隠密と似た熟語の紹介や使い方、英語表現などもご紹介しました。隠密と似た意味の熟語が沢山あり、少し混乱してしまったかもしれません。

ですが、一つ一つの漢字を読み取っていくことにより、微妙な意味の違いやニュアンスの違いについてご理解いただけたのではないかと思います。この記事が少しでも皆様の参考になれば幸いです。