「境目」や「仕切り」などの意味を持つ「閾値」は、使う場面などによっても意味や使われ方が大きく変わる言葉です。
使う職種・使わない職種が大きく分かれる言葉なので、聞き馴染みのない方いるのではないでしょうか。ここでは、そんな「閾値」のビジネスシーンごとでの使い分けや日常生活における「閾値」の使い方を紹介しています。
「閾値」読み方と意味とは？
「閾値」の読み方とは「しきいち、しきち」
「閾値」は、「しきいち、しきち」と読みます。「しきみ」と読む「閾」という字は、「門」と「域」という漢字で成り立っていることから、そこから「敷居」を表す言葉になり、「境界」などの分かれ目を指す場合に使われる言葉になりました。
「閾」という漢字は表外漢字に当たるため、あまり目にする機会は少ないかもしれません。そのため、「閾値」は日常的にもビジネスシーンでも使用できる言葉ではありますが、それぞれの分野で書き方が違っています。使い方や例を後述しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「閾値」の意味とは何か分かりやすく解説
「閾」が「境界」を示していると紹介しましたが、「閾値」は漢字の意味通り「境目を示す値」となります。
しかし、ただの境目を示すことを表しているわけではありません。「閾値」の場合は、「一定のラインを越えたら状態に変化が生じる値」を意味しています。
言葉だけではイメージが付きにくいかもしれませんが、イメージとしては「沸騰した水」です。水を温めていくとお湯になりますが、１００℃を超えると沸騰し始めるため、水の状態が変化していることが分かります。この１００℃のラインが今回紹介している「閾値」に当たります。
「閾値」の言い換え（類義語）一覧
「閾値」は、あまり日常的に使われる言葉ではありません。一種の専門用語的な印象を持った方もいるのではないでしょうか。
しかし、言葉自体は違っても同じ意味の言葉を使うことは多いと思います。ここでは、「閾値」の類義語を紹介します。
- 境目（意味：相接するところ、境となるところ、）
- 限界（意味：仕切り、越えられないぎりぎりの限り、）
- 境界（意味：領域や物事などを分ける境目のこと）
- 最小限（意味：ある範囲内でもっとも小さいこと、小さいことのぎりぎりのところ）
「閾値」の反対語（対義語）一覧
「閾値」の類義語と合わせて対義語について調べましたが、一切情報が出てきませんでした。「閾値」という言葉は値を示しているため、対になる言葉がないこともよくわかります。強いて言うのであれば、「値しない」という意味では「無」が対義語に当たるのかもしれません。
ビジネスシーンにおいての「閾値」の使い方や例文一覧
一般的なビジネスシーンでの「閾値」の使い方や例文
まず、ビジネスシーンで使用される「閾値」の特徴は、精密であるということです。他者に関係しているものだからこそ、個人ではなく会社単位で損得がかかっているため、曖昧では許されません。
一般的なビジネスシーンでは、「閾値」を「しきい値」や「いきち」と書かれます。使用用途は純粋にラインを意味しています。
例文
- 商品の人気が閾値を超えたため、受注販売の用意をする
- 取引先の評価が、目標の閾値を超え
IT業界での「閾値」の使い方や例文
IT業界では「閾値」を「しきいち」と読み、一定のラインを超えた際に変化する値を表します。使用用途に合わせて基準が変わり、かなり細かい調整が必要な場合が多い基準です。
例文
- ±１０g以上だった場合、機械を止める閾値を設ける
- 閾値を30分に設定し、機械を触らなかった場合はスリープモードにする
日常生活においての「閾値」の使い方や例文一覧
ビジネスシーンでは精密さが求められた「閾値」ですが、日常的に使われる「閾値」の場合、曖昧な結果にならざるを得ないのが現状です。日常で使われる場合とは、感情や感覚などの「限界値」に関することが多く、個人差が伴うからです。
例文
- 何度注意してもごみを分別してくれない家族にイライラの閾値を超える
- 隙間に指を挟んでしまい、痛みの閾値が超えて涙が出てきた
- 笑いの閾値が低く、すぐに大笑いしてしまう
上記に書いたように、目に見えないものが対象になっているのもビジネスシーンで使われる「閾値」とは違う大きなポイントです。
生物学や物理学の分野の使い方や例文一覧
生物学や物理学の分野では「閾値」を「いきち」と読み、日常生活と同じように「限界値」に関する研究等がされています。
例文
- 複数のネズミにグリンピース台のチーズを与え続けたところ、約10個が閾値であることが分かった
- 犬が入眠するタイミングは、約22時頃が閾値となっている
「閾値」の英語表現とは？
「閾値」は英語をそのまま読んだ「スレッショルド」と言われることもあり、綴りは「 threshold」となります。意味は、「閾値」以外にも「敷居」があり、日本語の「閾値」とあまり変わらない表現となっています。
また、もっと一般的な言い方をすると「制限」や「限界」などの意味を持つ「limit 」と適切です。使う場面によって使い分けられると良いかもしれません。
「閾値」の読み方と意味のまとめ
ここまで、「閾値」について紹介しました。意外にも身近な言葉に驚いた方もいたのではないでしょうか。実は色んな場面で使える「閾値」について知っていると、語彙が増えて、会話中の表現力が高くなるかもしれません。ぜひ、今回紹介した言葉について、今後の生活に生かしていただけると幸いです。