被/かぶる

被る(かぶる・こうむる) 意味・使い方・例文・類義語・対義語・ビジネス wordia

「被る」には3つの読み方があります。そして、それぞれの読み方によって意味合いが少しずつ異なります。ここでは「被る」の3つの読み方とそれぞれの意味を中心に、類義語、対義語のほか、意味の似た言葉との違いや英語表現をご紹介します。例文もご紹介していますので、イメージしながら「被る」という言葉の意味を把握していきましょう。

「被る」の読み方と意味

「被る」の読み方は全部で3つある

「被る」には「かぶる」、「こうむる」、「かむる」の3つの読み方があります。「被」という漢字は衣服をあらわすころもへんに皮という字の組み合わせで出来ています。つまり「頭からおおうこと」が「被」という漢字の意味です。なんとなく想像がつきますね。以下、「被」という漢字を使った「被る」の読み方と意味について、順に説明していきます。

「被る」の意味一覧

「かぶる」は、頭のてっぺんからつま先までの「全身に受けること」「全身に浴びること」を表します。そこから転じて、務め、責務などを「負うこと」「背負うこと」「引き受けること」という意味があります。

また、写真や映像で曇りかかってぼやけること、かすんで見えることを「かぶる」と表すこともあり、色合いが加わることを指して「青かぶり」「緑かぶり」などと表現することもあります。音響の世界では元々ある音にさらに音が加わることを「かぶる」と表現することもあります。2つ以上のものが重なることも「かぶる」と表現します。

「こうむる」は、本来であれば引き受けなくていいものを自ら背負い込むという意味です。「災害」や「人の罪」などのマイナスのものだけではなく、「恩恵」などのプラスのものを受けるときにも使います。「かむる」は頭からすっぽりと覆うことです。帽子や王冠などを載せるときに使います。

「被る」の言い換え(類義語)一覧

「かぶる」の言い換えは「請け負う」「背負う」「重複する」「(水などを)浴びる」です。「こうむる」の言い換えは「(被害に)遭う」「(ダメージを)受ける」「(恩恵を)授かる」です。「かむる」の言い換えは「身に着ける」「載せる」「いただく」です。言い換え表現とセットで覚えると英語で「被る」を表現したいときに便利です。

「被る」の反対語(対義語)一覧

「かぶる」の対義語は「授ける」「与える」「挑む」依頼する」です。「こうむる」の対義語は「免れる」「逃れる」です。「かむる」の対義語は「脱ぐ」です。「被る」は「受ける」「浴びる」というのが主な意味なので、そこから反対の言葉を考えていくと理解しやすいです。

「被る」の使い方と例文を紹介

「かぶる」「こうむる」という「(意図せず)請け負う」「授かる」という意味での「被る」の例文は下記があります。

  • 同僚のミスを被ってお客様に謝罪した。
  • 災害を被った
  • 思わぬ恩恵を被った。

「浴びる」という意味では

・誤って水を被ってしまった。

という例文が挙げられます。

最後に「身に着ける」という意味では

・あちらの帽子を被った男性です。

などの例文が挙げられます。

「被る」と「蒙る」の違い

「蒙る」も「こうむる」読み、自分以外の人や物事を受けるという意味があります。ただ「蒙」という漢字は「おろかなこと」「物事の道理をわきまえていないこと」など、漢字字体の印象がよくないこと、そして「蒙」の漢字が常用漢字ではないことから「こうむる」の表記としては「被る」が一般的です。また「蒙る」には「かぶる」「かむる」の意味が含まれません。

「被る」と「重なる」の違い

二者以上で同時に話し出すことや内容が重複することを「かぶる」と表現することがありますが、この場合の「かぶる」は俗語的です。議論や話題など何かが重複した際は「かぶった」というより「重複した」「重なった」と表現した方が自然でスマートです。声が重なったときは「(声が)揃う」と表現することも可能です。

「被る」と「ダブル」の違い

同じものを買ってきたときや内容が重複したとき「かぶった」「だぶった」と表現することがあります。「ダブる」は英語のdouble(ダブル)という名詞を和訳し、さらに動詞化(名詞の語尾に『―する』『―る』を付けて動詞にすること)したものです。

したがって「ダブる」とは「同じものが2つある」という意味が強いです。同じものが2つあるときは「ダブる」「被る」両方の表現が可能ですが、3つ以上ある場合は「被る」という表現の方が適切です。また、「ダブる」と響きが似た言葉に「だぶつく」があり、こちらも同じものが複数ある場合に使用できる言葉です。

「被る」の英語表現は?

「被る」の英語表現は、それぞれの意味合いで異なります。「引き受ける」「請け負う」ことを指す場合、assume, get into, haveで表現ができます。また、予期しないことを請け負った結果、被害にあった場合には「~で苦しむ」という意味の単語sufferでも表現ができます。「身に着ける」ことを指すにはput on, get into, wearでの表現が可能です。

「被る」の意味と使い方のまとめ

「被る」には「かぶる」「こうむる」「かむる」の3つの読み方があること、それぞれの意味や使い方、類語、対義語、似た意味の言葉との違いや英語表現をご紹介しました。「被」という漢字の意味が「頭からおおうこと」「全身に浴びること」というのがイメージできれば、それぞれの文脈の「被る」がどの読み方なのか、どの意味なのかを把握しやすいです。