混沌/こんとん

混沌(こんとん) 意味・使い方・例文・類義語・対義語・ビジネス wordia

世の中には「なんとなく知っているけれど、意味はよく分かっていない」という言葉が溢れています。今回紹介する「混沌」も、まさにそんな言葉の一つではないでしょうか。

この記事では、「混沌」についての意味や使い方、歴史の一部と英語表現などを紹介しています。ぜひ最後までお付き合いいただき、言葉の意味だけではなく、「混沌」と他の熟語の違いなどを再確認してください。

「混沌」の読み方と意味は「秩序(ちつじょ)」と「無秩序(むちつじょ)」が関係している?

「混沌」という言葉について、多くの方が一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。「混沌」という熟語の、それぞれ部首を外した際の「昆」と「屯」の読み仮名が「こん」「とん」であり、部首にさんずいをつけて「混沌」と記載されても読み方は同じく「こんとん」と読みます。

混沌(こんとん)とは、区別が立たず物事が入り混じっている状態、もしくは、物事が無秩序で、まとまっていない状態をいう。ここに出てきた「無秩序」の意味は、簡単に言うと「ルールがない」という意味になります。

つまり、「混沌」とは「無秩序」だからこそ出来てしまう概念と言えます。まだ整理整頓がなされていなく、全てが入り混じって区別が無い状態であるので、ぐちゃぐちゃな荒れ果てたイメージが出来るかと思います。

混沌の意味は一般的には上記で述べたように「物事が無秩序でまとまっていない状態」を言いますが、もう一つ「天と地がまだ開けず不分明である状態」という意味も持ちます。天地が不分明の世界は物語の中だけの話かとは思いますが、ここからも「混沌」が指すイメージが沸き立つのではないでしょうか。

「混沌」の使い方と例文を分かりやすく紹介します

「混沌」は、多くの物事が入り乱れて手が付けられないような状態を意味します。日常的に使われる言葉ではありませんが、使う際には問題が発生した場合などネガティブな場面が多い言葉です。例文を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • デモが起こり、人で町が混沌としている。
  • 仕事の掛け持ちをしすぎてしまい、キャパオーバーで脳内が混沌としている。
  • 掃除を怠り、部屋が混沌としている。
  • 彼の押入れには洋服や雑貨、日用品などありとあらゆるものが収納されており混沌としている。

「混沌」と「虚構」の違いと意味は?

ここまで紹介してきた「混沌」とは、主に現実に起こった無秩序な状態やその状況を表しています。一方「虚構」とは、現実には起こっていない作り話を指します。ドラマやアニメ、映画などといったものは一部を除きフィクション(虚構)と呼ばれます。

実際に起こったものを題材にしたものに関してはノンフィクションと言いますが、一般大衆向けに作られた映画やドラマなどに関してはフィクション(虚構)であることが大半です。このように虚構とは作り話のことであり、実際に起こってはいないことをあたかも起きているかのように見せかけたり、作り出したりすることを言います。

「混沌」とは違い、「虚構」は「作り話」や「仮構」を意味するため、さほどネガティブな印象を与えません。文章や話し言葉として使う場合にも、相手にネガティブな要素を感じさせることが少ないため、気軽に使うことのできる言葉の一つであると言えます。

「混沌」と「渾沌」と「カオス」の違いと意味は?

「混沌」と「渾沌」の違いと意味

同音異字である「混沌」と「渾沌」は、実は同じ意味の言葉です。元々「渾沌」は、中国神話に登場する怪物の名前から由来しています。一般的に使われているのは「混沌」の方ですが、同じ意味であるので「渾沌」を使用しても特に問題はありません。

意味は同じですが、「混沌」の「混」は常用漢字ですが、「渾沌」の「渾」は常用漢字ではありませんので、どちらを使うか迷った際には「混沌」と記載するのが適切だと言えます。

「混沌」と「カオス」の違いと意味

「混沌」と同じ意味の言葉として「カオス」が挙げられます。「混沌」という言葉よりも「カオス」という言葉の方が聞き慣れているという方も多いのではないでしょうか。「あいつはカオスだからな」とか「世の中がカオスだ」等と使われます。ここからも分かるようにカオスというのは物事が無秩序でまとまっていない状況を指します。

「カオス」という言葉はギリシャ語からきています。その由来は、宇宙を表すコスモスから来たと言われています。宇宙の秩序が成立する前の状態を表すために「カオス」という言葉が誕生しました。そのため、「カオス」は宇宙論とも言われています。

「中国神話」や「日本書紀」「古事記」に出てくる「混沌について解説

「中国神話」の「混沌」は「四凶 (しきょう)」と関係がある

先ほども紹介しましたが、「渾沌」とは中国神話に登場した怪物の名前です。描かれている姿は二種類ありますので、紹介します。

  • 犬のような姿で長い毛が生えており、爪の無い脚は熊に似ている。目があるが見えず、耳もあるが聞こえない。脚はあるが、いつも自分の尻尾を咥えてグルグル回っているだけで前に進むことは無く、空を見ては笑っていたとされます。
  • 善人を忌み嫌い、悪人に媚びる頭に目、鼻、耳、口の七孔が無く、脚が六本と四枚の翼が生えた姿

伝説の生き物とされ、悪神を司る四凶の中のうちの一匹です。

「日本書紀」の「混沌」は天地開闢と関係がある

天地開闢には二つの物語があります。日本書記が伝える天地開闢は、物語の始まりが「混沌」です。「混沌」が語られている部分としては、天と地・昼と夜が別れていない世界から秩序が生まれ、神が生まれるという話でした。

「古事記」の「混沌」は天地開闢と関係がある

一方、古事記が伝える天地開闢は、既に秩序が生まれたところから始まっています。そのため、「混沌」について語られておらず、古事記の天地開闢と「秩序」はほとんど関係がないと言えます。

「混沌」の類義語(言い換え)を紹介

類義語1:混乱

混ざり乱れる漢字の「混乱」は、「混沌」と似た意味である「無秩序」と同じ意味でもあります。様々な要素が複合され、手が付けられない状況を示しています。何が何か分からないほど入り乱れ、整理がつけられなくなる事を示します。

  • 信号機が故障して交通機関が大混乱している。
  • 一ヶ月掃除をしていなかったため部屋がゴミ屋敷になり、どこから手を付けるべきか混乱している。

類義語2:パニック

「パニック」とは、震災や災害で人が慌てふためく様子を表しています。「混沌」の意味と比べると使う場面が少し異なりますが、人が「秩序」を保てなくなる瞬間とすると、かなり「混沌」と近い言葉になります。

パニックは人々の恐怖心や不安からくる混乱した心理的状況をさす言葉でもあり、それに伴って生じる震えや突発的な不可解な行動をさす言葉でもあります。「無秩序な混乱した状態にある点」では混沌と似ていますが「心理的状態をさす言葉」でもあるので、状況に応じた使い分けが必要になってきます。

  • 嫌な記憶がよみがえり過呼吸になるというパニックに陥った。
  • 世界各国の通貨危機によって、パニックになっている。

類義語3:支離滅裂

「支離滅裂」は、読んで字の如く全てがばらばらになってしまっている状態を指します。統一性がないため、「秩序」という概念が存在しない状態を表しています。筋道も通っておらず、一貫性が無いためまとまりがなく、何をしたいのか、何を言っているのか、何を表しているのかが全く分からない状況を指します。

例えばサッカーの話をしていたのに、いきなり料理の話を始め、あのサッカーの試合が負けたのはハンバーグを焦がしてしまったからだと結論つける等、全く話の脈絡がなく、意味が何一つ伝わってこないような状態を意味します。

  • 君の言っていることは支離滅裂だよ。
  • レポートに支離滅裂なことを書いて提出した。
  • 会議で支離滅裂なことを言ってしまった。

「混沌」の対義語(反対語)を紹介

対義語1:秩序(ちつじょ)

「秩序」とは、「無秩序」の反対の意味で「ルールがある」という意味になります。「混沌」は「無秩序」がある上で成り立つものなので、「無秩序」の対義語である「秩序」も「混沌」の対義語と言っても過言ではありません。秩序は社会や環境が整うための条件やルールを指すため、社会生活を成り立たせるためにはなくてはならないものと言えます。

  • 会社の秩序を乱さないでくれ
  • 秩序を守ろう

対義語2:調和(ちょうわ)

「混沌」は、世の中のバランスが崩れてしまう状態を指します。一方の「調和」は整っている状態やバランスが良く釣り合っていることを表しているため、「混沌」の対義語といえます。「○○と調和がとれている」等と使われることが多い熟語です。

  • 先生は生徒とよく調和がとれている。
  • この調味料をいれたお蔭で味の調和がとれた。

対義語3:整然(せいぜん)

「整然」に関しても、「調和」と同じく整えるという意味があります。規則正しく整うという意味になるため、「秩序」と同義語であり、「混沌」の対義語となります。乱れたところがなく、きれいに整っているということを指します。

  • 海外の整然とした街並みに心が癒された。
  • 彼は理路整然と持論を並べた。

「混沌」とは英語でカオス(chaos)

先ほど「カオス」について触れましたが、「カオス」は「混沌」の英語表現です。英語で言うと「chaos」と書き、「ケイオス」とも呼びます。一般的な言葉ではないためか、それ以外に「混沌」を表す単語はありません。

「混沌」の意味と使い方のまとめ

今回は、「混沌」について対義語や言葉の違いなどを紹介しました。あまり聞かない言葉ではありますが、同義語をみると意外に身近な言葉のようにも感じ取れます。

歴史的観点でも「混沌」の意味や成り立ちなどを触れてきましたが、初めて知ったという方もいらっしゃったのではないでしょうか?改めて知った知識や言葉の意味など、今後、ご自身の人生にお役に立てていただけると幸いです。