「昔取った杵柄」について解説します。ことわざの中でも、あまり聞きなじみがない言葉ですが、社会人になったら慣用句やことわざ等を使う機会も増えてくるので、しっかりと覚えておくと良いでしょう。
「昔取った杵柄」の読み方と意味とは
「昔取った杵柄」の読み方とは「むかしとったきねづか」
「杵」を訓読みで「きね」、「柄」を訓読み「づか」となります。よって、「昔取った杵柄」は、「むかしとったきねづか」と読みます。「昔操った杵柄」とも言われます。
「昔取った杵柄」の意味とは「年月が経っても腕に覚えのある技能などのたとえ」
「昔取った杵柄」の意味は、「しばらく遠ざかっていても、昔(若い時)に実際に修練して自信を持っている事柄のたとえ。年月が経っても腕に覚えのある技能などのたとえ」です。
少し難しく感じますが、分かりやすく言うと「過去に体験したことがあり、自身を持っている」という意味です。
「昔取った杵柄」の言い換え(類義語)一覧
言い換え(類義語):亀の甲より年の功
「亀の甲より年の功」とは「かめのこうよりとしのこう」と読み、「年長者は、長年経験を積んでいるだけに、若者の及ばない知恵がある」意味があります。
「その道の経験が長く、年を取った熟年者が、若者に対して使います。
言い換え(類義語):堪能
「堪能」という言葉には、2つ意味があります。1つ目の意味が、「食事や料理を楽しむこと、満喫すること、満足すること」です。
2つ目の意味が、「その道に詳しいこと、優れていること」です。
- 彼が13年間海外留学で学んできた英語は堪能です。
言い換え(類義語):年が薬
「年が薬」とは「としがくすり」と読みます。意味は、「年をとるにつれて、分別が身につくこと」です。「年が意見」「年こそ薬なれ」とも言います。
経験を自信につなげる意味の「昔取った杵柄」とは違い、「年が薬」とは「年とともに判断が落ち着いてくる」という意味になります。
- 私の祖父は、昔はやんちゃで有名だったが、今は落ち着いている。まさに年が薬だ。
言い換え(類義語):年季の入った
「年季の入った」とは、「ねんきのはいった」と読み、意味は「熟練しているさま、良く使い込まれているさま」です。
人物にはあまり使われず、バッグや、時計などの物に対して使われます。
言い換え(類義語):老いたる馬は路を忘れず
「老いたる馬は路を忘れず」は「おいたるうまはみちをわすれず」と読みます。意味は、「経験を積んだ者は、その行なうべき道を心得ていること」です。
言い換え(類義語):腕に覚えがある
「腕に覚えがある」とは「うでにおぼえがある」と読み、「自分の技量に自信がある。その仕事に経験を積んで、自信がある。」という意味があります。
「昔取った杵柄」の反対語(対義語)一覧
「昔取った杵柄」の対義語は、「昔千里も今一里(むかしせんりもいまいちり)」「麒麟も老いては駑馬に劣る」「昔の剣今の菜刀」があります。
反対語(対義語):昔千里も今一里(むかしせんりもいまいちり)
「昔千里も今一里」は「むかしせんりもいまいちり」と読みます。意味は、「優れた能力を持った人でも、年を取ってしまえば人並の能力に落ちてしまうことのたとえ」です。
反対語(対義語):「麒麟も老いては駑馬に劣る」
「麒麟も老いては駑馬に劣る」の読み方は「きりんもおいてはどばにおとる」で、意味は「いかに優秀な人でも、年を取れば普通の人にも劣るということ」です。
反対語(対義語):「昔の剣今の菜刀(むかしのつるぎいまのなぎなた)」
「昔の剣今の菜刀」の読み方は「むかしのつるぎいまのなぎなた」で、意味は「若い時には優秀でも年を取ってしまった今では、全く役に立たないということ」です。
「昔取った杵柄」の使い方と例文
「昔取った杵柄」の使い方
「昔取った杵柄」は、ビジネスでも使うことが出来ます。しかし「良い意味」でしか使えません。「悪い意味」で使うのは誤りになるので注意しましょう。
「昔取った杵柄」の例文
- 学生時代に書道を習っていたので、昔取った杵柄のおかげで直筆のサインが綺麗になりました。
- 彼女の新規企画のアイデア力は、まさしく昔取った杵柄ですね。
「昔取った杵柄」の語源・由来は「いろはかるた」
「昔取った杵柄」の言葉の語源・由来は、「上方いろはかるた」の一句からだと言われています。「昔取った杵柄」は、上方(かみがた)と呼ばれる京都近辺が発祥の地とされている「上方かるた」で詠われています。
「昔取った杵柄」の英語表現とは
「昔取った杵柄」は、英語で表現すると下記になります。
- be old hand at ~ ~の熟練者である
- You never forget your own ~ 自分自身で経験してきた~は、決して忘れない
文章にすると下記になります。
- You never forget your own programming. 自分自身で行ったプログラミングは決して忘れない
「昔取った杵柄」の読み方と意味のまとめ
読み方 | むかしとったきねづか |
---|---|
意味 | 過去に体験したことがあり、自身を持っているということ |
類義語 | 亀の甲より年の功、堪能、年が薬、年季の入った、老いたる馬は路を忘れず、腕に覚えがある |
対義語 | 「昔千里も今一里(むかしせんりもいまいちり)」「麒麟も老いては駑馬に劣る」「昔の剣今の菜刀」 |
英語表現 | be old hand at ~、You never forget your own ~ |
この記事では、「昔取った杵柄」について解説しました。読み方が難しいので、中々覚えにくいことわざですが、類義語や対義語が多いことからも、意外と使用する機会が多いかもしれませんね。