忸怩/じくじ

忸怩たる(じくじたる) 意味・使い方・例文・類義語・対義語・ビジネス wordia

「忸怩たる」とは、国会などの公の場からビジネスでも使用できるワイドな言葉です。しかし、とある政治家が「忸怩たる思い」を間違って使用したことがきっかけで、正しい意味があまり認知されずに浸透してしまった言葉でもあります。そんな「忸怩たる」の基本的な読み方から使い方まで解説しておりますので、ぜひ、この記事で正しい知識を学んでいただけると幸いです。

「忸怩たる」の正しい読み方とは「じくじ」

「忸怩たる」に含まれているとは、「忸(じく)」・「怩(じ)」という読み方を持つ漢字で成り立っています。これらの漢字を組み合わせて「じくじ」と読みます。気づいた方もいるかと思いますが、どちらも「りっしんべん」を使う漢字です。

別名「心部(しんぶ)」とも呼ばれ、「悟」や「思」などが「りっしんべん」の一例です。「りっしんべん」とは特に気持ちを表しており、ここで紹介した単語や「忸怩」の意味についての詳細を後述で解説しています。

「忸怩たる」の正しい意味とは

先述した「忸」と「怩」の意味は、「りっしんべん」が含まれているため、気持ちの状態を表す言葉です。どちらも「恥」に関する意味を持ち、それぞれ「恥ずかしい」や「恥をかく」などを表しています。

そのため、「忸怩」は同じ意味の言葉を反復することから、「とても恥ずかしい、大変恥をかいた」などと少し仰々しい表現になっています。

「忸怩たる」の言い換え(類義語)と例文

「忸怩たる」の類義語にあたる言葉は、「恥に関するものすべて」と言えます。そのため、純粋に「恥ずかしい」という言葉だけでも類義語と言っていいでしょう。ほかにも様々な言い方で類義語が存在しますので、下記にて例文と併せてまとめて紹介します。

「忸怩たる」の言い換え(類義語):穴があったら入りたいの例文

例文

  • 例文1:大勢の人の前で盛大に転び、穴があったら入りたい気持ちになった。
  • 例文2:接客中、緊張のあまり声が裏返り、穴があったら入りたいと思った。
  • 例文3:発表会で、たくさんの注目を浴び、穴があったら入りたい気持ちになる。

「忸怩たる」の言い換え(類義語):決まりが悪いの例文

例文

  • 例文1:自分のせいでチーム優勝を逃し、決まりが悪い
  • 例文2:たくさんのものを落とし、いろんな人に拾ってもらって決まりが悪い

「忸怩たる」の言い換え(類義語):恥じ入る

例文

  • 例文1:赤点者を発表する際、自分の名前だけが呼ばれて恥じ入る
  • 例文2:ミスを繰り返し、同じ注意をされたことを深く恥じ入る
  • 例文3:高齢者を助けたことで表彰され、照れくさくて恥じ入る

「忸怩たる」の言い換え(類義語):自責

例文

  • 例文1:プロジェクトのリーダーを任されたがうまく進行できず、自責の念に駆られる。
  • 例文2:努力を怠ったせいで成績が落ち、自責の念を抱く。

また、単語である「忸怩」を「忸怩たる思い」という言葉に変えると、「とても恥ずかしい」という意味のほかに「深く後悔する」という意味を含むようになります。

「忸怩たる」の反対語(対義語)と例文

「忸怩たる」という言葉の意味には、「顔を赤らめる様子」も含まれています。前述した「恥」という意味と合わせると、「とても恥ずかしい思いをして顔を赤らめる様子」になり、その様子は容易に想像できるのではないでしょうか。

「忸怩たる」の対義語はその逆の様子を表す言葉で、「矜持(きょうじ)、自信(じしん)、自負心(じふしん)」が「忸怩たる」の対義語に当たります。「矜持」の意味は、「誇り」や「プライド」という心理を表しています。これらの言葉について、例文も併せて紹介します。

「忸怩たる」の反対語(対義語):矜持(きょうじ)

例文

  • 例文1:スポーツマンとしての矜持を胸に、世界で戦い抜くことを誓う。
  • 例文2:嘘をつくのは、自身の矜持に反する。
  • 例文3:自身の矜持に懸けて、1度やると決めたことは絶対に曲げない。

「忸怩たる」の反対語(対義語):自信(じしん)

例文

  • 例文1:これまでの経験が、自信に直結することを知っている。
  • 例文2:自信をもって試験に臨めるよう、勉強は欠かさずに行う。

「忸怩たる」の反対語(対義語):自負心(じふしん)

例文

  • 例文1:業務に対する経験から、すべての行動に自負心をもって臨むようにしている。
  • 例文2:自身の自負心が強く、妥協を許さない。

どの対義語に関しても胸を張る様子が想像できる言葉ばかりです。意味だけでなく、言葉に対する姿勢や様子が対局であることも「忸怩たる」と対義語の特徴と言えます。

「忸怩たる」の使い方

「忸怩」とは、あまり単語で使われることが少ない言葉です。一般的には「忸怩たる思い」という使われ方が多く、ビジネスシーンでも使われます。「忸怩たる思い」という言葉に対し、「聞いたことはあるけど、使ったことはない」という方も少なくないのかもしれません。

使う場面としては、重大な失敗を犯して謝罪する場合がほとんどです。また、「忸怩」は、あくまでも自身の言動に対して使用する言葉です。「他人の行いで自身が忸怩たる思いになった」というような使い方は誤りに当たりますので、使う際には充分な注意が必要です。

「忸怩たる」を使った例文を紹介!

「忸怩たる思い」という言葉を聞くことが多い場面は、テレビで放送される謝罪会見ではないでしょうか。先述したとおり、使用するのは謝罪する場合がほとんどのため、実際に使うことは少ないかもしれませんが、「忸怩」の使い方の例文を紹介していきますので、参考にしていただけると幸いです。

例文

  • 事の重大さを自覚できていなかったこと、忸怩たる思いです。
  • 自分が無知であることを知らしめ、忸怩たる思いに駆られる。
  • 自分の行いを後悔し、忸怩たる思いを抱く。

「忸怩たる」の英語表現とは?

全世界共通言語とも言われている英語には、「忸怩たる」という言葉は存在していません。意味が少し仰々しいこともあり、日本独特の言葉とも言えます。

しかし、「忸怩たる」の意味である「恥ずかしい」を使って、「忸怩たる思い」を表現することはできていますので、その単語を紹介します。

  • bashful
  • shameful

一般的には、「bashful」が「忸怩たる」に代わる単語として使われています。

「忸怩たる」のまとめ

この記事では、「忸怩たる」という言葉について紹介しました。言葉自体、あまり良い印象を持たない方が多いのではないでしょうか。実際に使用されるのは謝罪を要する場合や反省する場合が多いため、仕方がありません。

しかし、言葉を知ることで相手の気持ちを汲み取ることや、自分の気持ちをより相手に伝えることができるようになります。一番は、「忸怩たる思い」にならないことですが、もしもの場合は、この記事で紹介した内容が力になれればと思います。