「内縁」「内縁関係」とは、結婚していないけれども夫婦同然で暮らしている関係を指します。ここでは「内縁」の読み方から意味、使い方や類義語、対義語、「事実婚」「同棲」との違いを説明します。そして住民票の記載はどうなるのか、扶養を受けることはできるのか、などの、結婚と比較した場合のメリット・デメリットもご紹介します。
「内縁」の意味とは別居していること?定義について何か分かりやすく解説
「内縁(ないえん)」とは「法律上の婚姻関係は持たないけれども、実態は夫婦」という関係です。内縁関係には「双方に婚姻する意思があること」「共同生活の実態があること」の2点が必要ですので、住所を同じくする必要があります。したがって、別居の場合は内縁関係を認められにくいのです。内縁関係には住所を同じくすること(同居)、生活費(財布)を共同で負担することが必要です。
「内縁関係」の場合の内縁の夫と内縁の妻の住民票記載の続柄は扶養になる?
「内縁関係」の場合、住民票の「続柄(世帯主から見た関係)」欄の記載を男性、女性のどちらかを世帯主として、続柄を「夫(未届)」または「妻(未届)」と記載することができます。また、男性、女性ともに「世帯主」として記載することも可能です。
内縁関係でもいわゆる扶養に入ることができますが、年間の収入が130万円未満(60歳以上または障害のある場合は別途)かつ被扶養者の収入が、扶養者(被保険者)の収入の半分未満という収入要件があります。
「内縁」のメリットとデメリットを解説!
「内縁関係」とは婚姻届を提出しないで、戸籍上夫婦とならないことです。
したがってメリット・デメリットには法律が関係します。
「内縁」のメリット
日本には夫婦同姓制度があるため、結婚(婚姻届の提出、入籍)した場合夫婦どちらかが氏(姓)の変更手続きを行う必要があります。氏を変更した場合、社会保険や年金、銀行口座やクレジットカードなどの名義変更をする必要があります。
「内縁関係」では婚姻届の提出がないため、内縁の夫婦どちらも氏の変更の必要がありません。したがって変更手続きを行わなくて良いという点やキャリアパスの面で障害を受けにくいというメリットがあります。また「内縁関係」は入籍をしていないため、基本的に同居の解消とともに「内縁関係」の解消ができます。
「内縁」のデメリット
「内縁関係」では戸籍を同一にしていないため、内縁の妻、夫どちらが亡くなっても、基本的に遺された方には相続権がありません。また「内縁関係」のあいだに生まれた子どもは非嫡出子となり、親権は母親のみの単独親権となります。税金面では「配偶者控除」が受けられないというデメリットがあります。
「内縁の夫」「内縁の妻」になる理由とは浮気が原因?
「内縁の夫」「内縁の妻」になる理由はカップルごとに異なりますが「内縁関係」は離婚後半年間という再婚禁止期間でも有効です。つまり戸籍上夫婦であったカップルが浮気の末、離婚となった場合、離婚した夫婦のどちらかと新たなパートナーが再婚禁止期間を「内縁関係」として過ごすこともあります。
「内縁」と「同棲」「事実婚」との違いとは?内縁の彼女と内縁の彼氏?
「内縁関係」とは「双方(お互い)に婚姻する意思があること」「共同生活の実態があること」です。事実婚との大きな違いは「内縁関係」が「双方に婚姻の意思がある」に対して「事実婚」では「当事者同士が『婚姻届の提出をしないという意思』を持ち、主体的に婚姻届の非提出を選択している」という点です。「同棲」は単に住居を同一にしていることであって、生活費を双方で負担する義務はありません。したがって、「内縁の彼女」「内縁の彼氏」という呼び方では意味がわからなくなってしまいます。「内縁の妻」「内縁の夫」と表現しましょう。
「内縁関係」が成立する年数とは何年から?条件はある?内縁の妻の権利とは?
「内縁関係」が成立するために決まった年数はありません。「双方に婚姻する意思があること」「共同生活の実態があること」が「内縁関係」が成立する条件です。
ただ、社会保険では「内縁関係」でも「配偶者」として健康保険に加入ができ、厚生年金・国民年金にも加入ができます。遺産相続の場合は事前に遺言がある場合相続人となることができます。
「内縁関係」の証明方法とは?
「内縁関係」を証明するには「夫婦関係の実態があることを示す」ことが必要です。住民票登録を同じ住所にする、賃貸契約の際に同居人欄に「内縁の妻」「内縁の夫」と明記しておくことや、共有の銀行口座を持っておくのがよいでしょう。また、親戚や知人に内縁関係であることを周知しておくのも一つの方法です。
「内縁関係(内縁の夫・内縁の妻)」の場合の子供はどうなる?お互いの呼び方は?
「内縁関係」の場合、戸籍が同一ではないので「内縁関係」のカップルに子どもが生まれた場合、子どもは非嫡出子となります。また、生まれた子どもの親権は母親となり、婚姻届を提出したカップルのように共同親権が持てません。
「内縁関係」の場合、お互いの公的な呼び方は「内縁の妻(または夫)」以外に「未届の妻(または夫)」「未届の夫(または夫)」「事実上の妻(または夫)」「パートナー」です。
「内縁」の類義語・反対語
「内縁」には「事実婚」「準婚」という類語があります。その他に俗語的に「出来合い夫婦」「馴れ合い夫婦」という類語もあります。対義語は「婚姻関係」「夫婦」「結婚」です。
「内縁」の使い方と例文
「内縁」を使った例文をご紹介します。
例文
- 同僚の佐藤さんは長く内縁関係の女性がいたが、先月入籍を果たした。
- 姉には内縁の夫がいるが、姉の妊娠をきっかけに籍を入れ、夫婦となった。
- このたびパートナーと同居を解消し、内縁関係も解消した。
「内縁関係」を英語表現で何と言う?
「内縁関係」を英語で表現すると、de facto marriageとなります。「事実婚」に近い表現ではcommon-law marriageで表現できます。少しカジュアルな表現ではdomestic relationshipも「事実婚」に近い表現として使用できます。
「内縁」の意味や定義のまとめ
「内縁」「内縁関係」とは「法律上の婚姻関係は持たないけれども、実態は夫婦」という意身を持った関係のことです。法的なメリット・デメリット、税法上のメリット・デメリット、子どもが生まれた場合などについてご紹介しました。「内縁」「事実婚」の意味と違いを身に着けて、豊かなパートナーシップの構築に役立てていきましょう。