予断/よだん

予断(よだん) 意味・使い方・例文・類義語・対義語・ビジネス wordia

「日常で使うことはあるけれど、意味はよく知らない」と感じる言葉はありませんか。本記事で紹介する「予断」という言葉も、まさにその一つではないでしょうか。

「予断を許さない」などの言葉で聞いたことがあると思いますが、「予断」の言葉の意味を聞かれたら、回答が難しい方も多いのではないでしょうか。

この記事では「予断」の意味や使い方を解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

「予断」の読み方と意味

本記事で紹介する「予断」は、「よだん」と読みます。ふたつの文字の音読みを組み合わせた言葉です。「予」は「あらかじめ。かねて。前もって。」、「断」は「さだめる。決める。」という意味で、ふたつの意味を合わせると「あらかじめ決めること」となります。

よだん【予断】[名](スル)前もって判断すること。予測。

未来を予測するときに使用する言葉だということが分かります。

それぞれの漢字の意味をつなぎ合わせた、シンプルな熟語ですね。

また、「あらかじめ」という字を使っているので、「予断」は未来のことについて決めるというニュアンスがあります。

「予断」の言い換え(類義語)一覧

予測

  • 「出来事の成り行きや結果を前もって、おしはかること」という意味があります。前もって判断するという部分が共通点ですね。
  • 「予測」は「渋滞予測」「経済予測」「株価予測」など、今までのデータの基づいた上で、未来のことを具体的に考える際に使用されることが多くあります。
予想

  • 「物事の成り行きや結果について前もって見当をつけること」という意味があります。
  • 「予想」は、「予断」よりも広い意味で使用されることが多いです。 また、「期待する」というニュアンスが含まれることもあります。 そのため、「みんなの予想を裏切り、最下位となってしまった」という使い方もできます。
推測

  • 「ある事柄をもとにして、おしはかる」という意味があります。「予断」とはある事柄をもとに判断するという部分が共通していますが、「推測」には時間を表す文字が入っていません。「見た目で20代と推測した」などの使い方もできます。
臆断

  • 「根拠もなく、おしはかって判断すること」という意味があります。 「予断」とは、おしはかって判断するという部分が共通していますが、 「臆断」は判断するための根拠がありません。 例えば「事実確認をせずに臆断した」などと使用できます。

「予断」の使い方と例文

予断を許さない状態

「あらかじめ予測できない状況」という意味になります。

つまり、今後どうなるか分からないという予測不可能な状況であるときに使用する言葉です。ここで使う「許す」は「できる」という意味です。

肯定文で「予断を許す(前もって予測できる)」とも言いそうですが、実はこの使い方はできません。「予断を許さない」と、ひとまとまりで使う慣用表現になります。

例文

  • 患者の病気が進行しており、予断を許さない状態だ。
  • 市長選の行方は、予断を許さない状態が続いている。

予断を持って判断

「前もって結果を予想して行動する」という意味です。今回は「予断」を「先入観」「思いこみ」「偏見」などの言葉と同様の意味で使用しています。

例:予断を持って判断した場合、誤った結論を出してしまう可能性がある。

今回の失敗は、わたしは予断を持って判断したことが原因だ。

予断を持たず

上記の「予断を持つ」の否定形になります。「先入観を持たない」と置き換えても使用でき、「前もって結果を予想した行動をしない」という意味です。

例文

  • 予断を持たずに取り組んだおかげで、試合に勝つことができた。
  • 上司から、「明日の商談は、予断を持たずに取り組むように。」と釘をさされた。

「予断」と「余談」の意味と使い方とは?

「余談」は、今回のキーワードである「予断」と同じ読み方をする言葉です。

「余」は「そのほか」、「談」は「話す」という意味があるので、単純に合体させると「ほかの話」です。

辞典にて調べると、このように記載されています。

よだん【余談】 用件以外の話。本筋を離れた話。

「予断」と読み方は同じですが、意味は全く異なることが分かります。

会話やプレゼンテーションの際に、「余談ではありますが」等の前置きをして話を始める場面に出会ったことはありませんか。こういったときは「ちなみに」「蛇足ですが」などの言い換えができます。

例文

  • 余談はここまでにして、本題に入りましょう。
  • 余談ではありますが、わたしが昨日体験した話を聞いてください。

「余談を許さない」という言葉も見たことがあるかもしれませんが、こちらは「余談を話すことを許さない」と、言葉の通りの意味です。すぐに本題に入らなければならない場面などで使用されます。

「余談を許さない」が上記の意味ではなさそうな場合は、「予断」を「余談」と書いてしまった誤記であることが多いです。特に、メール等パソコンやスマートフォンで打ち込むときに誤記は起こりやすいので、気を付けてくださいね。

「予断を許さない」は「油断ができない」に言い換えることはできない

似ている場面で使用されるので、意外かもしれませんが、ふたつの言葉は言い換えることができません。例文を見て、確認していきましょう。

これから良くなるか悪くなるかはわからない」

  • 例文:「会社の売上は増えているが、まだまだ予断を許さない。」
  • 意味「会社の売上は増えているが、

「予断を許さない」は、単純に未来の予測ができない場合に使います。「どうなるか分からない」ということなので、良い意味も悪い意味もないです。ネガティブな場面でよく出てきますが、「予断を許さない」自体は否定的な意味は含みません。

  • 例文:「会社の売上は増えているが、まだまだ油断ができない。」
  • 意味:「会社の売上は増えているが、まだまだ気を抜くことはできない」

「油断ができない」は、取り組むときの気持ちや姿勢を表現する場合に使います。

深刻な場面や、周りを鼓舞するときに使用することが多いですね。

どちらも緊張感があったり辛い気持ちになったりと、ネガティブ場面で使われることが多く、語感も似ているので混同しがちです。しかし、意味が違いますので置き換えることができないので注意しましょう。

「油断を許さない状態・油断できない」の意味と使い方とは?

「予断」と「油断」は、字面も読み方も良く似ていますね。

「予断を許さない」と似た「油断を許さない」という表現を見たことがある方もいらっしゃると思います。ふたつの言葉は、一体どう違うのでしょうか。

ゆだん【油断】 [名](スル)たかをくくって気を許し、注意を怠ること。

気持ちや姿勢を表す言葉であることが分かります。

意味は違いますが、言葉の響きが似ているので混同されがちです。

「油断」の使い方をみていきましょう。

「油断できない」というのは気持ちを表す表現で、「気を抜けない」という意味です。

手を抜いたら失敗してしまうような緊張の場面で使用されます。

  • 例文1:テストの準備はしっかり行ったが、油断はできない。
  • 例文2:こちらが1点リードをしているが、依然として油断できない状況だ。

「油断を許さない状況」は、実は誤った使い方です。

「予断を許さない状況」と混同して使用する方が多いため、広まってしまったようです。

誤用されている方の文脈をみると、「油断を許さない」を「気を抜けない」という意味で使用されているようです。その場合は「油断できない」と言い換えるのが適切ですので、見かけたら注意してみてください。

「予断」の英語表現

「予断」を英訳すると「prediction」で、「予断する」と動詞にすると「predict」です。日本語では、カタカナ語としても浸透していないので、使用することはありません。予測、予言とも訳されます。

「predict」を分解すると「pre-dict」となり、語源は「pre(前もって)」と「dict(話す、言う)」に由来します。 また、「予断を許さない」を英語に訳すと、「unpredictable(予測不可能な)」です。

「予断」の意味と使い方のまとめ

本記事では、「予断」について使い方や英語表現などを紹介しました。「予断」という言葉を単体ではあまり使わないかもしれませんが、ニュースやビジネスの場面で出会うことはあると思います。「油断」や「余談」との違いなどの間違いやすい部分も解説しましたので、今後のお役にたてていただけると幸いです。